日本発祥のもの
ビーチサンダル
発祥の地
兵庫県神戸市長田区
発祥期
1952年(昭和27年)
考案者
レイ・バスティン、生田庄太郎
ビーチサンダルの起源
ビーチサンダルは1952年(昭和27年)にアメリカ人のレイ・パスティンと内外ゴム株式会社の技術者だった生田庄太郎によって開発されたのがはじまりです。
第二次世界大戦後、GHQによる復興事業のために来日していた工業デザイナーのレイ・パスティンは、草履や下駄といった「ひもが付いた履物」を見て、蒸れにくくて砂がついても簡単にはらえるから浜辺を歩くのにちょうどいい、と興味を持ちます。
帰国後、改めてひもが付いた履物を海外向けに商品化したいと、1951年(昭和26年)に自身のデザインを携えて再び日本を訪れます。
ゴム草履や下駄をつくる複数の会社に話を持ち掛けましたが、相手にしてくれるところはなく途方に暮れた頃、内外ゴムで技師長をしていた生田と出会います。
生田は独立気泡スポンジゴムという特殊なスポンジを開発したばかりの頃で、防水性に優れていたそのゴムを使って草履を作ってみようとなったのです。
さっそく試作品を作り、履いてみますが、大問題が発覚します。うまく履けないのです。
浜辺を歩くどころではない困った状況でした。
日本の草履と同じように作っても、外国人の足には、甲の高さや幅などが合っていなかったことが原因でした。左右が同じ形の草履は、ややきつめの鼻緒が幅の中央に位置しており、小指が履物からはみ出すように履きます。
そして、親指と人差し指、はみ出した小指などを使って草履を掴むように歩きます。草履はサイズや鼻緒の高さなどが足にあっていないと履けないし、履けたとしても親指と人差し指の間や、鼻緒が当たる指の付け根あたりが歩くと痛くなってしまうのです。
そこで、外国人の足の形に似せた木型を作って、左右同じ形ではなく左右の足それぞれの輪郭に合わせた形にし、草履では幅の中央にあった鼻緒を、輪郭に合わせた足形の、親指と人差し指の間に位置を調整しました。
かかとも草履のようにはみ出すのではなく、しっかりと足をのせられるようにし、かかとを2ミリ高くして履き心地のよいものにします。
掴んで歩く草履から、引っ掛けて歩くサンダルにしたのです。
1952年(昭和27年)にビーチサンダルの「ビーチウォーク」が完成し、翌年にはハワイへ輸出しました。
サーファーの間で大ヒットし、1ヶ月で10万足が売れたといわれています。
日本国内では、ビーチウォークを日本人向けに改良した「ブルーダイヤ」が1955年(昭和30年)に発売されており、現在も続く人気シリーズです。
現在では非常に安価なものからやや高価なものまで多くのメーカーから発売され、世界中で気軽に引っ掛けて出かけられる履物として人気となっています。
ただ、ビーチサンダルで通じることもあるようですが、アメリカでは歩く時の擬音からFlip flops、ニュージーランドではJapanese Sandalを縮めたJandal、オーストラリアではThong、ペルーではSayonara、マレーシアではJapanese Slipper、トルコではTokyoと呼ばれているそうです。