【京都府】絵馬の発祥の地と誕生秘話

日本発祥のもの

絵馬

発祥の地

京都・貴船神社

発祥期

平安時代

考案者

神様に願い事を祈願する人々

絵馬の起源

絵馬の起源は、生きた馬を奉納する習俗からです。奈良時代の 「続日本記」 には 神々は騎乗した姿で現れると信じられ「神の乗り物として “生きた馬” を奉納していた」と記されています。大きな神社には、神が移動する際に乗るといわれる神馬(しんめ)の厩舎があり、神社に神馬を奉納する習慣が生れたようです。

さらに、常陸国の各郡ごとに土地の産物や伝説、地名の起源などが記された『常陸国風土記(ひたちのくにふどき)』によれば崇神天皇(およそ3世紀前半から中頃に実在)の代より神事の際に馬を献上する風習が始まったとされています。

平安時代の漢詩文集『本朝文粋(ほんちょうもんずい)』、1012年(寛弘9)の条「色紙絵馬三匹」には、絵馬という言葉が記されています。1972年に伊場遺跡(静岡県浜松市)と、2012年鹿田遺跡(岡山市)から奈良時代(710~794年)の絵馬が出土され、当時の祭祀に使われたものと推測できる、巧みに描かれた絵馬も含まれていました。

伊場遺跡(いばいせき)の絵馬は横が約9センチで縦が約7センチ。鹿田遺跡(しかたいせき)は横が約23センチ、縦が約12センチの絵の描かれた板は、私たちが現在よく目にする絵馬の原型であると考えられています。

絵馬の起源は奈良時代からとしている資料が多く見られますが、新たな発掘調査により奈良時代をさらに遡った飛鳥時代の絵馬が発見されています。現存最古の絵馬は、1999年に大阪市の難波宮跡(なにわのみや)から出土した飛鳥時代(592年〜710年)のものです。

古来、日本では神は馬に乗って移動すると考えられ、馬は神馬として神聖視されていました。神事の際は、神の降臨を願って生きた馬を奉納していましたが、奉納できなかった庶民が奉物(たてまつりもの)として、土・わらで作った人形「馬形(うまがた)」や木で作った「板立馬(いただてうま)」を奉納するようになりました。さらに板に馬の絵を描いて奉納。これが絵馬の起源です。

絵馬は、神社や寺院に祈願の際に奉納する木の板で、馬や干支の動物、社寺の建造物などの絵が描かれていて、社寺の縁起物です。絵馬で有名な神社に、京都の「貴船神社(きふねじんじゃ)」があります。「貴船神社」は古くから水の神様「高龗神(たかおかみのかみ)」として名高く、古来から雨乞いや雨止みの祈願が行われていました。

平安時代、歴代天皇が遣わした勅使による、雨乞い・雨止みの御祈願(ごきがん)を行う際、干ばつの時には黒馬を、長雨には白馬(赤馬)を奉納して祈願していたとされています。貴船神社には昔の習わしを思わせるような白馬と黑馬の像が今でも残っています。

生きた馬から木の板に馬の絵を描いた「板立馬」を馬に換えて奉納したと、平安時代の文献「類聚符宣抄」にも記載されています。この板立馬が今日の絵馬の原形となり、絵馬の発祥地として知られる京都の貴船神社には、「絵馬発祥の社」と書かれた立て札が立っています。

絵馬の発祥の地マップ

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