【東京都】トイレマークの発祥の地と誕生秘話

日本発祥のもの

トイレマーク

発祥の地

東京都

発祥期

1964年

考案者

田中一光
道吉剛

トイレマークの起源

私たちが日常生活でよく見かけるトイレのサインは、男性が青色でズボンを穿いたマーク、女性は赤色でスカートを穿いた男女マークで、国内だけでなく海外の旅先でも見たことがある人が多いのではないでしょうか。今ではあちこちで見かける「トイレマーク」が、日本で広まり使われるようになったのは、1964年に開催された東京オリンピックからと言われています。

アジアで初めての東京オリンピックに参加した93か国・地域の選手と関係者。当時、文化や言語の違う外国人を受け入れるに当たり、外国語を理解する人の割合が少なく、絵をひと目見ただけで情報が伝わるものをと、競技20種および競技会場や選手村の設備用のピクトグラムが作られ、この時にできたトイレマークは、現在世界中で使われています。

ピクトグラムの制作には、美術評論家の勝見勝(かつみ まさる)が推挙した無印良品のトータルデザインを手掛けた田中 一光(たなか いっこう)、JRのロゴなど手掛けた永井 一正(ながい かずまさ)、横尾 忠則(よこお ただのり)など、当時の新進気鋭グラフィックデザイナーたち11人が集められました。

「世界中から人が集まる五輪で、文化や風習の異なる人たちをどのようにもてなそうか」、「外国語を話せる人がほとんどいないこの国で、どうやって言葉の壁を超えたらいいだろうか」の課題に取り組みました。

「世界各地からやってくる外国人が、言葉がわからなくても、ひと目でそれが何の施設かわかるようにするため、簡単な絵でそこが何かを表す様々なピクトグラムが決められました。トイレマークもこの時考案されており、トイレマーク自体を描いたのは田中一光氏だと言われます。

当初はオーストリア学者の原案をもとに、ズボンを穿いた男性とスカートを穿いた女性を黒一色でデザインされた図案でしたが、国や文化によっては男性がスカートを穿く地域もあるため、青色と赤色という識別しやすい2色で表現した道吉剛氏(グラフィックデザイナー)のトイレマークが採用されました。

青・赤という色分けを決めた道吉氏によると、どうしてこの2色にしたのは「なんとなく」だったそうです。ちなみに、私たち日本人は色で見分けていることが多く、男性は青、女性は赤と古くから擦り込まれてきたといいます。外国人は色でなく形で見分けているそうです。

海外のトイレのデザインは、ISO規格(国際標準化機構)とAIGA規格(アメリカグラフィックアート協会)の男性はズボン・女性はスカートや、男性と女性の横顔のシルエット、文字表記(Men/Gentlemen、Women/Ladies、Toilet、WC)が過半数を超えるのではないでしょうか。

ただ、多少のバリエーションはありますが、「男女が立っている」という形は世界各国で共通しています。

東京1964オリンピックは、ピクトグラム初の国際大会での使用でした。トイレマークは、施設のピクトグラムデザインの開発に携わった田中一光氏が描いて、道吉剛氏が、青・赤の2色で表現した考案者になります。製作したピクトグラムの著作権は、勝見氏の「社会に還元すべき」の考えに若手デザイナー達が著作権放棄の署名を行ったことで、全世界で使われるようになりました。

こうやって生まれたピクトグラムは、微修正を加えながらも、現在でも身の回りのいたるところで目にすることができます。代表例として、緑の背景に走っている人間が描かれている「非常口のマーク」が挙げられます。また、「トイレの男女マーク」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ユーザーに潜在的な意識として非常口・トイレだと認識させる効果があります。 

トイレマークの発祥の地マップ

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