【東京都】たわし(亀の子たわし)の発祥の地と誕生秘話

日本発祥のもの

たわし(亀の子たわし)

発祥の地

東京都文京区本郷

発祥期

1907年(明治40年)

考案者

西尾正左衛門

たわし(亀の子たわし)の起源

たわし(亀の子たわし)は、1907年(明治40年)に西尾正左衛門が妻が掃除をする様子をみて思いついたのがはじまりです。
たわしとは、もともとは洗浄のために藁や縄、繊維などを束ねたもののことでした。
「亀の子たわし」は株式会社亀の子束子西尾商店の登録商標ですが、現在では一般的に「たわし」とはこの亀の子型のたわしのことを指します。
ここでは、亀の子たわしの発祥について紹介します。

正左衛門は幼いころから母親がシュロを編むのを見ていました。
シュロの木は樹高3〜7mほどと大きく育つのが特徴的な日本に自生しているヤシの木です。
樹皮は畳床に用いられたり、樹皮からとれる繊維を使ってほうき、魚の網、つるべ井戸の縄、運搬・荷造り用・建築用の縄やロープなどが作られていました。
正左衛門は母親が編んだシュロを針金で巻いて靴拭きマットを作ることを思いつきます。
現在のように舗装されていない時代です。縄を編んだだけのそれまでの靴拭きマットとは違って靴裏の泥を削り取ってくれると好評で、よく売れたそうです。
正左衛門は特許を取ろうとしますが、似た商品の特許がすでにあるとのことで断念し、さらに、体重の重い人が乗ったり長く使用していると毛先がつぶれて靴裏の泥を削り取る効果がなくなることから、思うように売れなくなり返品されるようになりました。

その頃、妻やすが障子の張替で桟を掃除するのに、マット用の棒状にしたシュロを曲げて使っているのを見かけます。
靴拭きマットでは体重でつぶれてしまう毛先も、手に持って使うならつぶれることはありません。正左衛門はシュロを洗浄用の道具にすることにします。
藁や縄を束ねた「たわし」はそれまでもありましたが、シュロを使うのは初めてでした。
繊維を針金に巻いて棒状にし、手に持ちやすい大きさに丸めます。使いやすい形・大きさ・重さなど試行錯誤して完成したのが亀の子たわしです。
亀の子という名前は、息子が飼っていた亀がたわしに似ており、長寿で縁起も良く水に縁もあることから「亀の子たわし」としたそうです。束子の漢字は当時の漢学者と相談してつけられた当て字といわれています。

たわしの素材は、現在ではシュロ(棕櫚)だけでなく、パーム(やし)やサイザル麻、ナイロンもあります。
ココヤシの実(ココナッツ)の殻から取り出した繊維で作るパーム(やし)素材のたわしは、シュロより固く調理器具だけではなく玄関のタイルから風呂掃除、野菜の皮むき、工業製品の洗浄にも使用されています。
サイザル麻は葉からとった繊維を使用しており、水を含むと柔らかく、油汚れに強く汚れが染み込みにくいことから、加工されたフライパンの予洗いや、傷つきやすい食器にも使用できると好評です。
使い勝手の良さから、様々なメーカーから亀の子型のたわしが発売されており、たわしの大きさ・形も、小さな手のひらサイズから業務用の大きなもの、ツイストや柄のついたものまであり、手の大きさや洗うものによって使い分けられています。
現在では洗浄用としてスポンジたわし、金属たわし、ナイロンたわし、アクリルたわしなど種類も豊富になりました。
とはいえ、頑固な汚れ、金属や網目のあるもの、野菜などを洗う際には、現在でもたわし(亀の子たわし)は欠かせないアイテムです。

たわし(亀の子たわし)の発祥の地マップ

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