【大阪府】カッターナイフの発祥の地と誕生秘話

日本発祥のもの

カッターナイフ

発祥の地

大阪府大阪市東住吉区

発祥期

1956年(昭和31年)

考案者

岡田良男

カッターナイフの起源

カッターナイフは、1956年(昭和31年)、現在のオルファ株式会社の創業者、岡田良男が、当時勤めていた印刷会社で考案したのがはじまりです。

1944年(昭和19年)の空襲で家を失った良男は、家計を助けるために旧制中学を中退して電気見習工となりました。
終戦後の混乱期に仕事を変えながらも、その後、印刷会社の日本転写紙株式会社(現在のエヌティー株式会社)で働くようになります。
印刷の工場では紙を切るために刃物を頻繁に使用しますが、すぐに切れ味が悪くなってしまいます。
切れにくくなる度に、捨てて新しいものを使用していました。
「もったいない」と感じていた良男は、切れなくなった刃先をポキッと折って、また使うことを思いつきます。戦後の混乱期に、路上の靴職人が靴底を削る時に、割れたガラスを使っていた光景がヒントになりました。
切れなくなってくると、ガラスを割って、新しい断面を使用するのです。
また、進駐軍の板チョコが、割ったときに溝に沿ってきれいに割れたことも思い出します。

仕事が終わった後の工場で、試作が始まりました。
普段は折れにくいけれど、切れにくくなった刃先を折りたいときはポキッと折れるというのは難しく、苦労します。
しかし、刃をスライド式にしたことで解決しました。
現場で使いやすいように、刃のサイズや折れ線など工夫され、ついに1956年(昭和31年)、折る刃式カッターナイフ が誕生します。
商品化に向けて大手メーカーなどに相談しますが、刃物は折れたらそれまでといった常識から断られてしまいます。良男は私財を投じて自分たちで作ることにしました。
町工場のプレス工場に最初に3000本作ってもらいましたが、不揃いで、刃が入らないものやズレて危ないものまであり、現場で使える状態ではありません。
そのため、一つ一つ自分でペンチやカナヅチを使って直し、ヤスリをかけて使えるものにしていったのです。
1959年(昭和34年)、カッターナイフの販売を始めます。

刃を折って新しくするというこれまでにないカッターナイフは、当初は反応があまりなかったようです。
しかし、印刷関連の企業で使いやすさが評判になっていき、口コミで広がり愛用してくれる人が増えていきました。
1967年(昭和42年)に良男は岡田工業(現在のオルファ株式会社)を兄弟4人で設立します。
商品のブランド名を「折る刃」から「OLFA(オルファ)」にしました。
翌年には輸出を始めています。
使い心地の良さから海外でも愛用者が増えていき、現在では100カ国以上の国々で使われるまでになりました。
9mmと18mmの刃幅のサイズや、59°の折れ線の角度やピッチ、溝の深さ、刃を研ぎあげる角度などは、事実上世界基準となっています。
事実上の世界基準となっているサイズや角度などは、様々な計算のもとに設計されたものではなく、電気見習工時代より各種の工具に触れてきた経験から、現場で使いやすいものを追及して生まれたものです。
何度も試作してテストし、現場第一で、自分自身で安全性や使い勝手を確かめながら作ったのです。
世界的な工具メーカーからOEMの提案もありましたが、町工場のつながりに支えられた品質の高さにこだわって断ったといわれています。
現在でも生産は国内のみです。
また、薄暗くても危険な刃物が目立つように、道具箱の中から見つけやすいようにとの思いから、色は黄色と決められています。
もったいないからスタートし、もっと安全で使いやすく長持ちする刃物を作りたいという思いから誕生したカッターナイフは、1979年(昭和54年)には曲線が切りやすいロータリーカッターにもなるなど、現場を第一に考えた用途に応じた様々な種類が登場し世界中で広く利用されています。

カッターナイフの発祥の地マップ

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