日本発祥のもの
いぶりがっこ
発祥の地
秋田県雄勝郡
発祥期
室町時代
考案者
不明
※いぶりがっこの名前は「雄勝野きむらや」が商標登録
いぶりがっこの起源
秋田県の代表的な「いぶりがっこ」は室町時代からあったと伝えられており、現在の生産者へと受け継がれています。
その昔、秋田県では冬場の食料不足が深刻な問題でした。
冬の訪れの早い秋田県(特に県内陸南部)は、晩秋から冬にかけて日本海の湿気を帯びた西風が奥羽山脈に阻まれることで、降雨と降雪が多くなり日照時間が短く気温も下がってしまう場所でした。
たくあん作りのための天日干し大根が充分乾燥しないまま氷点下になる雪深い環境のため、家の中の梁(はり)に吊るして囲炉裏の上で大根を干していました。
囲炉裏火の熱と煙で干すことにより、大根の保存性を高め、さらに米ぬかと塩などで漬け込み、水分を取り除くことで冬を越して食べることができました。
また、冬季の気温で発酵がゆっくり進み、大根に付いた燻製の香りと漬け材料が良い塩梅で融和し、独特のうま味と風味を醸し出してくれます。
発祥の地と言われている雄勝の地域ではほとんどの家庭で作られており、冬から春にかけてごく日常の食べ物でした。
昭和30年代に薪ストーブ普及し、囲炉裏のときのように煙で燻されることもほとんどなくなりましたが、現在では先人たちの伝統の味と製法を守りながら今も様々な生産者が作り続けています。
「いぶりがっこ」の由来は秋田の方言で、燻した(いぶり)漬物(がっこ)とよぶことから「いぶりがっこ」と呼ばれるようになりました。
ただし、いぶりいがっこという名前を広めたのは「株式会社雄勝野きむらや」であり、1983年に商標登録をしています。
きむらやにて「いぶりがっこ」を販売するようになってからは、秋田から集団就職で東京に行った人たちが帰省した際に非常に懐かしく思い、東京へ帰る際にお土産としてよく買われていました。
その影響で秋田県内よりも先に東京で人気がでたことにより、東京の百貨店で販売し始めましたが、「いぶりがっこ」は名前も知られていなかったので、まず大根であることから説明しなければいけませんでした。
なので最初は売れ残ってしまいなかなか売り上げが伸びませんでした。
そのうち買ってくれた人が「あの変な名前のクセのある食べ物がまた食べたいな」と、名前が特徴的なこともあってどんどん広まっていき全国で名が知られるようになりました。
今では居酒屋のメニューにもなっており、近頃はスーパーでも見かけるようになってきました。
いぶりがっこは使い勝手が良く、ポテトサラダやパスタ、チャーハンなどにも使われており、クリームチーズと合わせておつまみも作ることができ、万能な食材としても注目されています。