【長崎県】デコポンの発祥の地と誕生秘話

日本発祥のもの

デコポン

発祥の地

長崎県

発祥期

1972年(昭和47年)

考案者

農林水産省果樹試験場の農業系研究・技術者

デコポンの起源

「デコポン」は、1972年(昭和47年)に長崎県で誕生しました。現在の南島原市にある国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター口之津カンキツ研究試験地(当時の農林水産省果樹試験場口之津支場)で、「清見オレンジ」と「中野3号ポンカン」を交配・育成し開発された品種です。

当時は外観が悪かったために品種としては認められず、品種登録は行われませんでした。

見た目の悪さとは裏腹に著しく食味が良いことに着目した、熊本県・不知火町(現・宇城市)が栽培を始め、品種名「不知火(しらぬい)」として登録。名前は平成9年から熊本県のJA果実連の登録商標「デコポン」と呼称されます。

デコポンはミカン科ミカン属の柑橘です。デコポンの栽培は、 気候が温暖で日当たりの良い場所が適しているとされており、九州地方、愛媛県、和歌山県といったみかんの産地として知られる地域へ広がっていきました。デコポンの収穫量全国1位は熊本県で、次いで愛媛県、和歌山県、佐賀県などで栽培が盛んです。

デコポンの名前の由来は、「デベソ」ではなく「おでこ」のデコと「ポンカン」のポン。先端(果梗部)のぽっこりした出っ張りが特徴で、皮がむきやすく、熟すととても甘く、種も無いのでとても食べやすく、食味が良い柑橘です。

熊本県産のデコポンは出荷時期によって栽培方法が異なり、大きく分けて、

「ハウス栽培(加温)」、「屋根掛栽培(無加温)」、「露地栽培」の順番で出荷されます。デコポンは12月のハウスものから春先の露地まで約半年間楽しめる息の長い柑橘です。

ハウス栽培は手間や経費がかかる分、雨風や鳥、虫の被害が避けられ最適な栽培環境をコントロールすることができます。安定した品質で傷が少なく、形も揃っているハウス栽培のデコポンは高級品の代名詞ともいえるハイグレード柑橘です。12~2月に出回ります。

屋根掛栽培は、屋根を被せているだけの状態で育てることです。ボイラーなどで加温しませんが、ハウス内の温度は上がり露地栽培ものよりも成長が早くなるそうです。年明け1月中旬以降に出荷が多くなります。

露地栽培ものは2~6月に出回り、ピークは3~4月です。収穫後貯蔵したものが出荷されるため、3月後半になってくると酸が抜けて甘みを強く感じるものが多いです。価格も「ハウス」→「屋根掛」→「露地」の順番で買い求め易い価格へと変動していきます。

デコポンの美味しさの理由は、形や大きさ、糖度13度以上・クエン酸1.0以下などの糖度までをしっかり検査される「全国統一糖酸品質基準」をクリアした、日本で唯一の果物(柑橘)です。デコポンの品種名は不知火ですので、果物としてはどちらも同じものですが、厳しい基準をクリアしたものだけがデコポンと名付けら、値段が高くなります。

開発された当初は見た目や酸味の強さ、栽培の難しさから、国の育成品種としては認められなかったデコポンでしたが、県をあげて熊本県不知火地方で栽培に取り組み、高品質なデコポンの育成に成功しました。ポスト温州みかんの模索期と重なり、デコポンの登場はみかん産地にとって「柑橘の切り札」とまで評価されました。

ちなみにアメリカでもデコポン(不知火)は栽培・販売されており、アメリカでの名前は「スモー」。デコ部分が、力士の髷(まげ)に似ていることから名付けられたそうです。

デコポンの発祥の地マップ

鹿児島本線・松橋駅から 宇土半島の南岸を西に5kmほど、「道の駅不知火(しらぬひ)」には、柑橘類の果実をデザインした 大きな石碑 「デコポン発祥の地」が建っています。

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