日本発祥のもの
レモンサワー
発祥の地
中目黒の「もつやきばん」
発祥期
1960年代の半ば頃
考案者
小杉正
レモンサワーの起源
「レモンサワー」発祥の店として有名な東京・目黒区にある大衆居酒屋「 ばん」。以前は麻雀店を営んでいた店が、もつ焼きがメインの大衆居酒屋・ばんとして創業したのが1958年の64年前(2023年現在)。ばんの創業者小杉正氏が、「チュータン」や「焼酎ハイボール」と呼ばれた焼酎の炭酸割りを「サワー」と名付け、レモンをいれて「レモンサワー」として売り出しました。
居酒屋チェーンの拡大と共にレモンサワーの市場が席巻。当時の居酒屋ブームの中心にいたのが「居酒屋御三家」の「養老乃瀧」「つぼ八」「村さ来」です。特に村さ来はさまざまな「酎ハイ」の提供に力を入れ、第一次レモンサワーブーム担い手の役割を果たしています。
また、関東でレモンサワーという呼び名が定着したのは、日本初の焼酎割り飲料として博水社が発売(1980年/昭和55年)した「ハイサワー」も一因となっています。博水社の先代社長が、会社と同じエリア・中目黒にあった居酒屋・ばんで、1ケース24本入りの炭酸が1日15ケースも売れることに着目し、レモンサワーの割り材を考案しました。
ハイサワーとはレモンジュースや炭酸を合わせた商品で、焼酎と混ぜるだけでレモンサワーができる割り材です。焼酎とハイサワーがあれば、手軽に誰にでもレモンサワーが作れるハイサワーの登場は、日本酒やビール、ウイスキーしかなかったお酒に、お酒の新しい飲み方や楽しみ方で猛烈な勢いでレモンサワーを普及させました。
1990年代後半から盛んにお茶の間に流れた「お客さん終電だよ」のセリフと、「わ る な ら ハイサワー」というCMが、関東中心に放映され一躍有名になったハイサワーですが、当時ハイサワーのCMになじみのない関西では、同じ飲み物を「レモンハイ」と呼んでいました。そんためレモンサワーは関東ローカルな飲み物として定着したそうです。
2010年代頃から若者の間にレモンサワー第二次ブーム。昔懐かしい「横丁スタイルの昭和系居酒屋」に「おじさんの飲み物」と、いうイメージのレモンサワーが若い人が好むオシャレなお酒としてトレンド入りしました。同じ頃、ダンス&ボーカルグループEXILEのメンバーがライブの打ち上げで、レモンサワーを浴びるほど飲んでいたことは有名です。
また、レモンサワーの人気は、若い女性の健康志向や、美容、ダイエットなどへの関心も背景にあります。レモンサワーは蒸留酒をベースにしているため低糖質、レモンでビタミン補給、「お酒=太る」を払拭してヘルシーなイメージ、レモンのさわやかな酸味とソーダのしゅわしゅわとした飲み口で女性に愛飲されました。
現在起きているのがレモンサワー第三次ブーム。これまでのブームと異なるのが飲食店だけでなく、家で飲んで楽しめる缶レモンサワーブーム。2020年10月の酒税法の改正や健康意識の高まりで若者のビール離れなどを受けて、サントリーやキリンビール、アサヒビール、サッポロビールと、大手ビールメーカーが積極的に家庭用レモンサワーを販売しています。
現在のレモンサワーは製法や原材料にこだわり、本当に飲みやすくてクオリティの高いもの(進化系レモンサワーなど)が増えました。そして現在(2023年)、関東ローカルな飲み物だったレモンサワーは、日本全国で愛飲される飲み物になりました。