日本発祥のもの
賽銭箱
発祥の地
神奈川県鎌倉市・鶴岡八幡宮
発祥期
室町時代
考案者
寺社
賽銭箱の起源
賽銭箱の起源は、戦国時代に遡ります。室町時代に伊勢参宮や本山詣などへの社寺参詣(しゃじさんけい)が庶民に広がり、お賽銭を奉納する風習が定着したといわれています。
戦国時代の僧侶快元の日記『快元僧都記』によると、1540年(天文9年)に散銭櫃(さんせんびつ)が鶴岡八幡宮に置かれたという記述があります。神社やお寺で祈願をする時やお礼をする時に奉納するお金がお賽銭で、散銭(さんせん/ちりせん)といわれました。この散銭櫃(賽銭箱)が神前に置かれた日本最古のものとされています。
古来神仏に祈願する場合、貴重な食糧源である米を紙に包み「紙捻り、おひねり」として奉納。米がお賽銭のような位置付けで奉納されることを「散米」と呼んでいました。物々交換でさまざまなものを手に入れていた時代から、鎌倉時代の中頃からお金(貨幣)が徐々に普及してきて、貨幣経済の時代になっていきます。
人々は、お金を渡すことが感謝を表すという考えになり、室町時代くらいから奉納が米・雑穀よりも銭貨(せんか)が増え、そのまま神前に置かれたので、自然に銭貨を受ける散銭櫃が生まれました。のちに賽銭箱になったのですが、賽銭箱の考案者は定かではありません。
お詣りをする時にお賽銭を投げるのは、「お願い事を聞いてください」が世間一般でのイメージですが、お賽銭の本当の意味は「この前は願いを叶えてくれてありがとうございます」という前回の願い事に対するお礼です。
お賽銭の「賽」の意味は、神様や仏様から福を授かった事に対して感謝してお金を祀る(まつる )ということで、先にお賽銭を投げてからお願い事をします。ちなみに願い事を叶えてもらうためのお賽銭は、願い事の後に投げるはずだそうです。
「なぜお賽銭を投げるのか」疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。宗教学的考察では、お金は人の身代わりとして「ケガレ」を引き取るといわれてます。つまりお金はケガレの吸引装置で、寺社はケガレの浄化装置であるということです。お賽銭を投げ入れる行為は、ケガレがまとわりついた貨幣を投げ捨て、祓い清めるという意味になります。
お賽銭は願い事を叶えてもらった時に、神様や仏様へのお礼として賽銭箱に入れます。願い事の大小は人それぞれなので、金額はいくらが良いという決め事はありませんが、お賽銭に入れると縁起の良い金額と悪い金額があるようです。
一番縁起が良い金額は、「ご縁がありますように」との願いが込められた5円玉です。5円玉単体のお賽銭も多いのですが、縁起の良い数字として語呂合わせで5円玉をバージョンアップさせた金額があります。
お賽銭に入れると縁起の良い金額は、以下の通りです。
5円玉2枚 | 重ねがさね(2枚)ご縁がありますように |
5円玉3枚 | 十分ご縁(15円)がありますように |
5円玉4枚 | 良い(4枚)ご縁がありますように |
5円玉5枚 | 二重(5円玉5枚)にご縁がありますように |
5円玉8枚 | 末広がり(8枚)にご縁がありますように |
5円玉10枚 | 五重(5円玉10枚)のご縁がありますように |
5円玉11枚 | いつでも(55円)ご縁がありますように |
5円玉21枚 | 十分(105円)にご縁がありますよう |
5円玉25枚 | 十二分(125円)にご縁がありますように |
5円玉97枚 | 四方八方(485円)からご縁がありますように |
上記の他にも、11円のように割り切れない数は、恋愛成就や夫婦円満祈願に良いとされます。風水では115円(いいごえん)は、天下を取る数字といわれ、100円玉と10円玉、5円玉の各1枚が良いそうです。
お賽銭に入れると縁起の悪い金額は、以下の通りです。
10円 | 遠縁になる |
19円 | 重苦の意味 |
33円 | さんざんの意味 |
49円 | 苦しい死の意味 |
65円 | ろくなご縁がない |
75円 | なんのご縁もない |
85円 | やはりご縁がない |
95円 | 苦しいご縁にあう |
500円 | これ以上大きな効果は無い(最大の硬貨) |
10円玉は5円玉2枚に変えると縁起が良くなると言います。しかし、お賽銭の金額うんぬんよりも、一番大切なのは神様や仏様に感謝を伝えるための気持です。
賽銭箱の形状は長方形の箱型で、中央に向かって2枚の板が斜めに取り付けられた構造になっています。上部は桟(梯子状)で覆われて、手を伸ばしても金銭に届かない作りです。賽銭箱の形がどのように変わり、誰のアイデアでこのような構造になったかの記載はありません。